永代供養私論

『寶塔山』平成27年5月号から

永代供養私論

最近、当山が霊園を計画し、「永代供養墓」も設置するようにしていることも関係しているのかも知れませんが、「永代供養」について質問を受けることが非常に多くなってきました。

近年、高齢少子化や未婚率の上昇、家族の形態の変化などに伴い永代供養を希望される方が増えています。確かに、自分の死後、自分や先祖の祭祀をしてくれる人がいない方にとっては最善の方法であると思います。

しかし、なかには、子供たちに迷惑をかけたくないからとか、供養をしてもらえるか解らないから永代供養で、という話もよく耳にします。

実際お聞きしたのですが、その方の知り合いのA子さんは子供に負担を掛けないようにと檀家寺に100万円を納め永代供養を申し込んだという話を聞き、ちょっと違うのではないのかと違和感を覚えました。それは子孫にとって、将来ちょっと危険な事になるかも知れないからです。

御主人の病気のことで、家族で霊断にお越しになった方は、何かにすがりたい一心で奥さんがインターネットで検索し、埼玉県の自称霊能者という人に連絡を取り、遠路来てもらったということでした。
3ヶ月もすると全く連絡が取れなくなったというオチがついていましたが、その自称霊能者が言ったということがあまりにも馬鹿らしかったので、あえて聞きはしませんでしたがそれなりの御布施を要求されたのでしょう。

誰しも、不幸が続くと藁にもすがりたい気持ちになります。ましてやそれが、子供や孫のことだったらどうでしょう。きっと誰もが必死になるでしょう。

そんな時、親や先祖は永代供養されているとはいえ、自分たちが何もしていなかったら、変な霊能者から、先祖供養が出来ていないと言われれば、思い当たらないわけでもないと感じ、多額の布施を巻き上げられることにもなりかねません。

A子さんは、子供に負担を掛けたくないという親心で永代供養を選ばれたのでしょうが、そのことがかえって子供たちを苦しめる可能性もあるのです。

ですから私なら、その百万円を子供に渡して『出来る範囲でいいから、このお金で供養してね』と言うように勧めたでしょう。

私は霊断法をもって人の悩み、苦しみを聞くことが多いので特にそう感じるのかも知れませんが、安易に永代供養を選択するということはお勧め出来ません。

永代供養墓を利用する前に考えること

  • 息子がいる、娘しかいない、子供がいない。
  • 息子はいるが、その先の後継者がいない。
  • 近くにいる、遠隔地で暮らしている。
  • 死後の供養はしてもらいたいか、否か。

ちなみに、今は永代供養墓よりも、佐々中央霊園が提唱している、33回忌までは家族と共にお墓に納まり、将来の墓じまい、合葬を管理者(大光寺住職)に任せるという、【有期限利用墓】が皆様から支持されております。選択肢の一つとして、ご検討されてはいかがでしょうか。