お彼岸は、仏教の生まれたインドにも、伝来した中国、朝鮮半島にもない、日本独自の行事です。
その起こりは大変古いようで、『蜻蛉日記』に記されていますし、『源氏物語』にも「彼岸のはじめにて、いとよき日なりけり」とあることから、平安時代にはお彼岸の行事が営まれていたことが解っています。
古代より、日本人は自然に親しみ、自然の恵みに感謝して暮らしてきました。特にその恵みをもたらしてくれる、太陽(日天)や月(月天)星(諸星)を大切に祀ったようです。
自然に対する敬いと、今生かされていることを祖霊に感謝する農耕儀礼が仏教と結びつき、ちょうど昼間と夜の時間が同じになる、春分、秋分を中心に行われるようになったのです。
それは、太陽の動きから見れば、昼間と夜の時間が同じバランスのとれた日であり、お釈迦様が説かれた、どちらにも偏らないという仏教の立場、『中道』に通じるところから彼岸の中日になったのでしょう。
彼岸の語源はインドのパラミータ(波羅蜜多) の漢訳で、『到彼岸』を略したもので、悩み多く迷いの世界である、此岸(こちら側の世界)から、平安な悟りの世界である、彼の岸(あちらの岸)に渡るという意味です。
年二回の彼岸は、悟りの世界に行くための、修業期間であり、半年間の修行の確認をし、必要があれば反省する一週間です。
この期間に、確認するのは『六波羅蜜』(布施、持戒、忍辱、精進、禅定、智慧)の実践が出来てきたか否かということです。その彼岸(悟りの世界)に行くための六つの修行は、昔々の御先祖が、私たちの人生をより良くし、究極の目的である成仏、浄土をこの世界に表すために、しつらえられた素晴らしい行事なのです。